Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

十八

ナオミがなかなか答えないので、ここで私の心配していた押し問答の形勢が持ち上りそうになりましたが、「どうだね? ナオミちゃん」と、私は出来るだけ優しい口調で、

「悪かったことさえ認めてくれれば、僕はなんにも過ぎ去ったことを咎めやしないよ。何もお前に両手をついて詫まれと云う訳じゃない。この後こう云う間違いがないように、それを誓ってくれたらいいんだ。え? 分ったろうね? 悪かったと云うんだろうね?」

するとナオミは、好い塩梅に、頤で「うん」と頷きました。

「じゃあ分ったね? これから決して熊谷やなんかと遊びはしないね?」

「うん」

「きっとだろうね? 約束するね?」

「うん」

この「うん」で以て、お互の顔が立つようにどうやら折り合いがつきました。

十八

その晩、私とナオミとは最早や何事もなかったように寝物語をしましたけれども、しかし正直の気持を云うと、私は決して心の底から綺麗サッパリとはしませんでした。この女は、既に清浄潔白ではない。―――この考は私の胸を晦く鎖したばかりでなく、自分の宝であったところのナオミの値打ちを、半分以下に引き下げてしまいました。なぜなら彼女の値打ちと云うものは、私が自分で育ててやり、自分でこれほどの女にしてやり、そうしてただ自分ばかりがその肉体のあらゆる部分を知っていると云うことに、その大半があったの