Japanische Klassiker mit Furigana
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しらねのふもと
白峰の麓
大下 藤次郎
Lesen Sie 白峰の麓 (しらねのふもと) von 大下 藤次郎 (おおしたとうじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.238 Zeichen · 45 Bildschirme
ところどころ樅の大木がある。富士はいよいよ高くいよいよ大きく見える。
鰍沢から歩むこと三時間半、道程三里にしてデッチョーの茶屋というに着いた。峠の頂上で、出頂とか絶頂とか書くのであろう。茶屋は少し山蔭の平地に在って、ただ一軒の穢ない小屋にすぎない、家の前には、近所の山から採って来た雑木が盆栽的に並んでいる。真暗な家の中には、夫婦に小供二、三人住んでいる。この子たちはどうして学校へゆくのだろうと気になる。暗い中に曲物が沢山ある。粟で飴を造って土産に売るのだそうな。握飯を一つ片づけ、渋茶をすすって暫くここに休む。
四
茶屋から先は下り一方ではあるが、久しく歩行かぬためか、足の運びが鈍い、爪先が痛む、コムラが痛む、膝節がいたむ、腿がいたむ、終には腰までも痛む、今からこんなことではと気を鼓しつつ進む。
道は山の裾に沿うて、たえず左に暗い谷を見ながらゆく。掩い冠さるように枝を延している紅葉の色の美しさは、比ぶるにものがない。前には常盤木の繁れる源氏山が聳えている。後の方は今来た道を、遠く富士が頂きを見せている。源氏山の中腹を過ぎると、早川に沿うた連嶺が眼前に展開され、杳かに水の音がきこえる。