Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しらねのふもと

白峰の麓

大下 藤次郎

Lesen Sie 白峰の麓 (しらねのふもと) von 大下 藤次郎 (おおしたとうじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.238 Zeichen · 45 Bildschirme

Aozora Bunko

細い白樺もチラホラ見える。草山の出鼻を曲ると、やや曇った西の空に、蝙蝠傘を展げたような雪の山が現われた。

待ち焦れた雪の山、私の足は地から生えたように動かなくなった。前には華やかな色の樺の若木が五、六本、後には暖い鼠色をした早川連嶺が、二重三重と輪廓を画く、その上から顔を出している雪の峰、白峰! 白峰!

人夫はその名を知らなかった。地図も見たがあまりに南へ寄っているので北岳ではない。農鳥でもない、大井川を超えて赤石が見えるのかとも思った。後に聞いたら赤石山系の悪沢岳であった。

私どものゆく道は新道で、旧道七曲峠の方からは白峰もかなりよく見えるという。それを楽しみに歩を運んだ。急坂を下ると河原に出る。橋を渡ってまた水を遥かの下に見て、曲り曲りて北を指してゆく。

渓の水音が遥かにきこえる。対岸に幾棟かの藁屋根が見える。そこは上湯島だという。長い釣橋が一直線に見える。椏や山桐や桑や、人の植えた木が道に沿うてチラホラ見える。焼畑には哀れな粟や豆が作られてある、村人が三三五五それらの穀物を刈っている。豆がらを焼く煙が紫に立ち昇って、鼠色の空にうすれてゆく。