Japanische Klassiker mit Furigana
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しろへびのし
白蛇の死
海野 十三
Lesen Sie 白蛇の死 (しろへびのし) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.881 Zeichen · 24 Bildschirme
何処だい?」
技手は思い返した様に、気軽に青年の肩を押しながら裏口へ出た。乏しい軒灯がぽつんぽつんと闇に包まれている狭い露路を、忍ぶように押黙って二十歩ばかり行くと、
「土岐さん、此処!」と、青年は立止って道を指した。
顔を地につけるようにして見ると、仰向きになった、銀杏のようなお由の円い顔が直ぐ目についた。頸から、はだけた胸のあたりまで、日頃自慢にしていた「白蛇」のような肌が、夜眼にもくっきりと浮いている。のけぞっているので、髷は頭の下に圧しつぶされ、赤い手絡が耳朶のうしろからはみ出していた。
「お由、お由!」
青年は憚るように声を殺して呼びながら、強く女を揺ぶったが、ぐったりと身動きもしなかった。彼は前にも幾度かそうして見たのであったが、もう一度機械的に黒繻子の襟を引き開け、奇蹟にでも縋るようにぐっと胸へ手を差し入れた。直ぐにむっちりと弾力のある乳房が手に触れたが、その胸にはもう、彼を散々悩ましたあの灼けつくような熱は無く、わずかに冷めて行くほの温味しか感じられなかった。心臓は?(ほら、こんなにね)と、よく彼の手を持って行っては、その強い躍動を示して笑った心臓も、パタリと止ってしまっている。