Japanische Klassiker mit Furigana
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しらゆきひめ
白雪姫
久生 十蘭
Lesen Sie 白雪姫 (しらゆきひめ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.723 Zeichen · 21 Bildschirme
ガイドを連れて、迎いにきて」
イライラしているくせに、声だけは落着いている。
この何年か、毎日のようにくりかえしてきた争いを、こんなところでまた巻きかえすのかと、阿曽はうんざりするより情けなくなった。
「勝手なやつだな。ガイドをことわったのは、お前じゃないか。わからないことをいわないで、歩いてくれよ。こんなところにいると、死んじまうぞ」
「死んだっていい。そのほうがお望みでしょう。あたしにはわかっているのよ、なぜこんなところへあたしを連れてきたか」
「なにをいいたいんだ。言ってみろよ、それで気がすむなら」
「いわないでおきましょうよ。あなたのほうが、よく知っていることだから」
ハナの底意地の悪さは、いまにはじまったことではないが、これが、六年もいっしょに暮してきた女のいうことだとは思えなかった。
こんどの伊太利の写生旅行には、ハナといっしょに来るつもりはなかったのだが、ナポリから日本へ帰るつもりだろう、どんなことがあったって逃がすものかと、気ちがいじみたあばれかたをするので、阿曽も精がきれて、いやいやながら連れてきた。地中海廻りで行くというのに、アルプス廻りにしようと頑張ったのもハナだし、氷河を歩いてみたいなどと、素ッ頓狂なことをいいだしたのもハナだった。