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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんじゅふじん

真珠夫人

菊池 寛

Lesen Sie 真珠夫人 (しんじゅふじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.296 Zeichen · 578 Bildschirme

Aozora Bunko

「なに、捨てゝ置くさ。同一人に債権の蒐まった方が、弁済をするにしても、督促を受くるにしても手数が省けていゝ。」

父は何気ないように、済ましているようだったが、然し内心の苦悶は、表面へ出ずにはいなかった。殊に、父は相手の真意を測りかねているようだった。何のために、相手がこれほど、執念深く、自分を追窮して来るのか、判りかねているようだった。

が、瑠璃子には相手の心持が、判っている丈、わずかばかりの恨を根に持って、何処までも何処までも、付き纏って来る相手の心根の恐ろしさが、しみ/″\と身に浸みた。通知状を見る度に、相手に対する憎悪で、彼女の心は一杯になった。彼の金力を罵った自分達丈を苦しめる丈なら、まだいゝ、罪も酬いもない老いた父を、苦しめる相手の非道を、心の底より憎まずにはいられなかった。

こうして、父が負うている総額二十万円に近い負債に対する数多い証書が、たった一つの黒い堅い冷たい手に、握られてしまった頃であった。

ある朝、彼女は平生のように郵便物を見た。――こうした通知状の来ない前は、それは楽しい仕事に違いなかった。其処には恋人からの手紙や、親しい友達の消息が見出されたから――。