Japanische Klassiker mit Furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Lesen Sie 真珠夫人 (しんじゅふじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.296 Zeichen · 578 Bildschirme
小間使の方が恐ろしい命令に、躊躇して、ウロ/\している時だった。仮の繃帯が了って、自分の部屋へ運ばれようとしていた美奈子が、父の烈しい言葉を、そのかすかな聴覚で、聞きわけたのであろう。彼女は、ふり搾るような声を立てた。
「お父様! お願いでございます。何うぞ、内済にして下さいませ! 妾が、短銃で打たれましたなどは、外聞が悪うございますわ。どうぞ! どうぞ!」
彼女は、哀願するように、力一杯の声を出した。
荘田は、娘からの思いがけない抗議に、狼狽えながら、尚も頑然として云った。
「お前さんの知ったことじゃない。お前さんは、そんなことは、一切考えないで、気を落着けているのだ。いゝか。いゝか。」
「いゝえ! いゝえ! 妾を打ったために、あの方が牢へ行かれるようなことが、ございましたら、妾は生きては、おりません。お父様! どうぞ、どうぞ、内済にして下さいませ。」
美奈子は、息を切らしながら、とぎれ/\に云った。傲岸不屈な荘田も、遉に黙ってしまった。
直也の二つの眼には、あつい湯のような涙が、湧くように溢れていた。初めて、顔を見たばかりの少女の、厚い情に対する感激の涙だった。