Japanische Klassiker mit Furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Lesen Sie 真珠夫人 (しんじゅふじん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 289.296 Zeichen · 578 Bildschirme
四
信一郎の失望も憤怒も、夫人の鮮な姿を見ていると、何時の間にか撫でられるように、和んで来るのだった。
四
「渥美さん! 今大変な議論が始まっているのでございますよ。明治時代第一の文豪は、誰だろうと云う問題なのでございますよ。貴君の御説も伺わして下さいませな。」
夫人は、信一郎を会話の圏内に入れるように、取り做して呉れた。が、初めて顔を合わす未知の人々を相手にして、直ぐおいそれ! と文学談などをやる気にはなれなかった。その上に、夫人から、帝劇のボックスで聴いた「こんなに打ち解けた話をするのは、貴君が初めてなのよ。」と、云うような、今となっては白々しい嘘が、彼の心を抉るように思い出された。
「だって奥さん! 独歩には、いゝ芽があるかも知れません。が、然しあの人は先駆者だと思うのです。本当に完成した作家ではないと思うのです。」
信一郎が、何も云い出さないのを見ると、三宅と云う文科の学生が、可なり熱心な口調でそう云った。先刻から続いて、明治末期の小説家国木田独歩を論じているらしかった。
「それに、独歩のような作品は、外国の自然派の作家には幾何でもあるのだからね。