Japanische Klassiker mit Furigana
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いしころ
石ころ
山本 周五郎
Lesen Sie 石ころ (いしころ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.450 Zeichen · 23 Bildschirme
一
一
ああ高坂の権之丞さまがお通りなさる、また裏打の大口を召しておいでですね、あの方のは大紋うつしでいつも伊達にお拵えなさるけれど、お色が白くてお身細ですから華奢にみえますこと。お伴れは三枝勘解由さまの御二男ですわ、お名はなんと仰しゃったかしら。それは紀久さまがご存じでございましょう。まあ悪いことを仰しゃるわたくし存じあげは致しませんですよ、それよりごらんあそばせ小山田さまの御老人が下腹巻でいばっていらっしゃいますわ。まあお髪の眼だって白くおなりなすったこと……
晩秋の午後のひざしの明るい御隠居曲輪の繩屋の縁さきに出て、十人あまりの若い娘たちがさいぜんからかしましく囁き交わしていた。すでに葉の散りつくした桜の樹間ごしに、壕を隔てて向うがわの道をお城から下って来る侍たちがうち伴れて通るのが見える。かの女たちは今その人々を指しながら若い娘らしくそれぞれしなさだめに興じているのだった。松尾はそのなかまから離れて、独りでせっせと草鞋を作っていた。甲斐のくに古府城では、筋目ただしい家の娘たちが選まれて、代る代るお城へあがって草鞋を作ったり蓆を編んだりするならわしがあった。