Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いしころ
石ころ
山本 周五郎
Lesen Sie 石ころ (いしころ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.450 Zeichen · 23 Bildschirme
四
なにごころなくあけてみると、中には綿を敷いて大切そうに石ころが五つ六つ入れてあった。――なんの石だろう。松尾はいぶかしく思ってよく見なおした。しかしどう見なおしても唯の石ころだった。それも特に色が美しいとか形が珍しいとかいうのではなく、いくらも路傍にころげている種類の、なんの奇もない石である。ただその一つ一つに小さな字でなにか書いてあるので、松尾はそっと手に取ってみた。するといつかうしろへ来ていた良人の新蔵が、
「ああそれは遠江の二股城の石だよ」と教えて呉れた。松尾はびっくりしてふり返った、新蔵は微笑しながらそばへ寄って、「これは駿河の田中城の石だ、これは美濃の明智、これは三河の鳳来寺のものだ」「では……本当だったのでございますね」いつか隠居曲輪で耳にした噂を思いだしながら、松尾はいくらか非難するように訊きかえした。「戦場から石を拾っていらっしゃるというお噂は、わたくし根もない蔭口だと存じておりましたけれど……」
「いやこのとおり本当だよ」新蔵は平然と微笑していた。
四
松尾は良人の眼を見まもりながら、どういう意味でこのように戦場から石を拾っておいでになるのかと訊いた。