Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Lesen Sie 石狩川 (いしかりがわ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 253.535 Zeichen · 506 Bildschirme
流れに沿って歩く彼らの足は速かった。しばらくは、昨日無駄に歩いた岩根や草やぶを踏みつけて歩いた。揺れ動くこまかい水滴の雲に、おもてを割って進んで行った。着衣もべっとりと湿った。菅笠のふちには、いつの間にかしずくが溜っていた。
やがて、見覚えのあるシラッカリの渓流であった。横ぎって南に出て、ぬっと胸を突きだしたような段丘を越えねばならぬのである。露の散る草やぶを踏みわけて、匐うように斜面をのぼった。蔓につかまり根木に抱きついた。趾をさか立てて足を喰いとめた。手と足と――文字通り四肢をつかってあがって行った。段丘は雑木に蔽われていた。丈なす笹やぶがつづいていた。参差する草木の海を泳いで、磁石の針に導かれているのである。おいおいと消えて行く靄の彼方に、その土地の高低起伏が隠見した。木の間がくれに洩れる六月の陽が汗を滲ませた。羽虫が目先をちらついた。虻が追いかけて来た。しめった草の根から湧きだす糠のようなぶよが、脚絆のあいめ、手甲の結びめなどのやわらかい皮膚に忍びこんで来た。汗と垢と脂と、ふんぷんとした体臭をまき散らした。それを慕って、埃のように襲いかかる虫であった。