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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぴこんちゅうかん

神秘昆虫館

国枝 史郎

Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

鼠の無地の衣裳を着、黒の腰衣を纒っていた。そうして袈裟を掛けていた。その袈裟ばかりは金襴である。松火の火に照り返り、まばゆいまでに美しい。美しいといえばその顔も、随分美しいものであった。男のような高い鼻、凛々しく引き締まった大型の口、延び延びと引かれた長い眉、それより何より特色的なのは「神秘」という言葉を如実に示した、大きくて、窪んで、光が強くて、そうしてともすれば残忍にさえ見え、そう見えるために美しい弓形をした眼であった。血色もよく皺もない。が老女には相違なかった。肩を蔽うている切り下げ髪が、白金のように白くもあれば、眉毛さえも白金のように白いのだから。

四十二

火を吹き消した有髪の老尼は「鯱丸」とまたも命令的に云った。

「これでよろしい、方向をお変え! 芹沢を目指して一直線! 乗っ切れ、乗っ切れ、さあ乗っ切れ!」

方向を変えた筏船は、帆鳴りの音を響かせて、しんしんしんしんと走り出した。

有髪の老尼は何者であろう?

街道を走って行く尼の行列は、どういう身分の者だろう?

もちろん今は解らない。

とはいえ両者は味方らしい。

そうして両者の行先は、芹沢の郷に相違ない。