Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Lesen Sie 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.803 Zeichen · 213 Bildschirme
こう云ったのは小一郎である。
それに答えて君江が云う。「大してそうでもございません」
馬の足掻きがパカパカと聞こえ、そうして鈴の音がシャンシャンと鳴る。
少し秋めいた夏の陽が濃緑の葉を明かるめている。人通りがないので寂しいが、それだけに長閑と云ってもよい。
「そうではないとおっしゃっても、やっぱりそんなようでございますよ」小一郎の調子は軽かったが、それは努めての軽さであり、本当の心持ちは重いのである。「桔梗様を目付けに行きますので」
「はいはいさようでございますとも」君江の調子も軽かった。そうしてこれは雑り気のない、心からの本当の軽さらしい。「桔梗様を目付けに行きますので。そうして是非とも桔梗様を、お見付けしなければなりません」
「だが」と小一郎は気の毒そうに、「いよいよ桔梗様が目付かったとして、どうなりましょうな、あなたの位置は?」
「何んの変わりがありましょう。おんなじ位置でございますよ」君江は少しも動じようとしない。そんなようにこだわらずに云うのであった。
「さあはたしてそうでしょうか?」小一郎の方が心配そうである。「変わるだろうと思いますよ」
「何んの変わりがありましょう」