Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅうさいようしかがみ
秀才養子鑑
佐々木 邦
Lesen Sie 秀才養子鑑 (しゅうさいようしかがみ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.837 Zeichen · 32 Bildschirme
失業の裏に夫人あり
失業の裏に夫人あり
小室君は養父の紹介だから、何とかなるだろうと思って出掛けた。養父は中風で、もう廃人だけれど、月二百円以上の恩給を食んでいる。セッセと働いて百円足らずにしかならなかった小室君よりもグッと豪い。逓信省の局長まで行って、その後民間会社の重役を勤めた人だ。長い間には多くの後輩の面倒を見ている。因みに、小室君は当年三十歳、而立というところだが、却って職を失って、新たにスタートを切り直す努力をしているのだった。
「お父さんには逓信省時代にお世話になりました」
会ってくれた重役の宗像さんは御繁忙中を迷惑がりもせずに、如何にも懐しそうに言った。養父は退っ引きならないところへ差向けたのらしい。そこは銅の会社だった。常務取締ともなれば、下級社員の一人や二人何うにでも融通がつくから、叶うことなら、先輩の恩顧に一遍コッキリ酬いたいものと宗像さんは考えていた。
「この頃は如何ですか?」
「寝たり起きたりで、好くも悪くもなりません。あのまゝで固まるのでしょう」
「外出はなさらないんですか?」
「近所廻りは杖をついて歩きます。もう二度やっているんですから、油断がなりません」