Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅうさいようしかがみ
秀才養子鑑
佐々木 邦
Lesen Sie 秀才養子鑑 (しゅうさいようしかがみ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.837 Zeichen · 32 Bildschirme
人間そのものゝ修業には一向関係のないことだ。太閤秀吉や徳川家康が大学を出ているか? というようなことが井上君その他の橘会々員との接触によって分ったのである。そこで小室君、前の会社でオズ/\していた時と違って、公生活に調子がついて来た。運勢が盛んになると、欠勤するような故障も自ら跡を絶つ。雪子さんも山の中だから夫君の気が散るまいと思って、安心している。随って家庭円満だから、仕事に身が入って、成績が素晴らしく好い。
「小室君は凄いな」
という次第で、一年たゝない中に、袖の香組の飛将軍と仰がれるようになった。
「君、君、井上君、橘会も好いが、お見受けしたところ、皆女房に頭の上らない連中ばかりだね。御大の君にしても、副将の香坂君にしても」
と小室君はもう誰とでも君僕の間柄だった。些っとも遠慮がない。
「大きな声を出すなよ」
「何故?」
「養子女婿秀才論は何処までも真理だけれど、僕達は差当り明かに養家なり家内の里なりから恩沢を蒙っているし、女房共もそれをチャンと知っているから、そこにお互の悩みがあるのさ」
「お互ってことは困るよ。僕は養子だ。恩沢を蒙っているのは商大の予科時代からだから、袖の香組随一といっても宜いけれど、君達と違って、押えるところはこれでガッチリと押えている」