Japanische Klassiker mit Furigana
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わたしのおぼえがき
私の覚え書
宮本 百合子
Lesen Sie 私の覚え書 (わたしのおぼえがき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.746 Zeichen · 18 Bildschirme
大丈夫だろうとは思いながらも、親同胞、友達のことを案じ、一刻も早く様子を見たい心持が、まるで通じないのが歯痒く、やや不快にさえ感じた。
然し東海道線は不通になっている。その混乱の裡に、用意なしには戻れない。入京は非常に困難らしいが、幸いなことに、私共は四日の午後に、何がなくとも、福井を出発する準備をしていた。米原から東京駅までの寝台券も取ってあった。それを信越線迂回に代えて貰うことは出来よう。私共は、翌三日にそれ等の準備をし、予定通り四日に東京に向うことに定めた。出発までは、出来るだけ落付いて、自分等の務めを続けると云う約束で。
三日の朝、早く起き、朝飯を終ると、私はわざわざ借りて来てある『大阪毎日』も見ず、二階にあがった。そして、机に向い、ペンをとり、仕かけの書きものを続けた。一晩寝て目を醒すと、昨夜は割合にはっきり安心のついていた人々のことが、却って腹の底から不安になって来ていた。気分が、陰鬱になった。どんな不運な機会で、私の愛する多くの人々が死んでいまいものでもない。会うまでは生死のほどもわからず、私としては、最も悪い場合に処しても我を失わない丈の考慮、覚悟は持っていなければならない。