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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme

Aozora Bunko

「人でなくば、いったい何だ。まさか変化でもあるめえに」

「下におれ、馬を降りよ」

「どういうわけで」

「おそれ多くも、みかどでいらせられる。たとえかかるお姿にはならせられても、万乗の天子の御前」

「……ふうむ?」

鼻を鳴らして、彼らは少しずつ馬をうごかし合い、後醍醐のおすがたを横から縦から覗き下ろしていたが、しかし容易に信じるふうではない。

ところへ、山中の一院、金剛蔵院の小道から、この近くへ出て来た同類の一群があった。深栖三郎はそれを見ると急に、馬の背から身伸びして、彼方へ声をかけていた。

「おおいっ蔵太。松井ノ蔵太。そっちにも何かよい獲物があったのか」

松井蔵太も深栖三郎と同郡の者で、また同目的のもとに、この朝、笠置の落人を狩りたてていたのである。

そして、一行に迷ぐれて父皇後醍醐をさがしあるいておられた宗良親王と、もうひとりの公卿とを捕えた。

公卿は四条少将隆兼だった。

蔵太は、雀躍りして、

「これや大功名の拾い物」

と、附近の金剛蔵院から古輿を借り出し、皇子のお身をそれに乗せて、意気揚々、ここを通りかかったものである。

「おーい」

深栖の手に答えながら、蔵太はやがて同勢と共に近づいて来るなりすぐ言った。