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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme

Aozora Bunko

「近ごろもお元気なのか」

「いよいよ以て」

「ならば、それでいい。あらためて、おたずねしてみたい儀もべつにない」

「が、師弟の情、先生には、しきりとお案じでおられまする」

「正成が戦をか」

「いや、兄上が勅を畏んでお起ちになったことは、われら同様、祝着にたえぬ、会心のいたりだと、あの琥珀いろの眸をかがやかして、異様なまでに、ご満足なていでしたが」

「では、不沙汰のご不満だな」

「そうです。なぜ正成は、築城にかかる前にも、この山荘へやって来ぬか。……正成には、大江家伝世の兵学、この時親が胸中のもの、あらましは授けてあるが、さらに、かかる時に会したからは、六韜三略の奥義までも、ことごとく伝授してやろうものを、と」

「そうか」

かろく聞き流して、

「正季。合戦は机の上のことではない。隠者が机に頬杖ついて、ご見物なされているのは仕方もないが、そちまでが、隠居の門へ、いちいち物好きな伺い立てをしに行くのはよせ」

やや不機嫌にたしなめた。

なぜ兄は事々に、加賀田の隠者を嫌うのか。

かつての兵学の師として、畏敬はしても、努めて避けている風にみえる。

正季には、正成の真意が酌めず、その折も、もっと告げたい師の伝言はあったのだが、正季はついいえずにしまった。