Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
時も時、あさましい戦乱、世のすえ、どうなりましょうか。自分たち小さい者はただただ漂わされている思いです。どうか、おん僧にも、ひとしおお身ご大切に。
としてあった。
「……ああ、あの夫婦もか」
兼好は、嘆息した。
みすみす濁流のさか巻く淵へ、呑まれ去る者を見ながら、手もとどかず、救うすべも持たない身を自分に見たような辛い、わびしい、やりきれない顔いろだった。
「ご亭主、もひとつおくれ」
酒も、うまくはない。
しかし、彼は、うまく飲まねば、自分もまた人生の一敗北者になるように思っている。やがて陶然と、外へ出た。
外は、白河颪し、いつかチラチラ京の雪だった。
雪は翌朝まで降った。初雪らしく、うッすらと京の三十六峰を白くして明けた。
兼好は、炉のカユ鍋を覗いて、
「そウれ炊けてきた。命松、いま持って行ってやるぞ」
と、一ト枝の柴を折って火にくべ足した。
吉田山の庵はせまい。
おまけに小僕の命松丸が、炉部屋のとなりに、さんばらな童頭だけを夜具から見せて、熱臭く寝こんでいた。よほどたちの悪い風邪とみえて、日ごろの元気者が、今朝もまだうんでもなければ、すんでもない。