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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme

Aozora Bunko

なぜなら、まだ昼中なのに、几帳のうちではご主君が女を抱いていたのである。それもあらわな枕絵の痴戯そのままなかたちで、こっちを振りむいているのであった。さすが女性のほうは羞恥にたえないというよりは酷い仕置きにでもあっているように花の顔を捻じかくしたきり息をつめている様なのであるが、ご主君の方はその青い艶やかな若入道の頭から額へかけてぼうと上気をみせながら、どこかには残忍な悦を持った眼が生き生きと獣めくまで主膳を見すえているのだった。

「あほうよ……」

若入道は罵った。

主膳が襟くびまで真っ赤にしているのが、むっと、気にさわったものかもしれない。が、主膳の方ではご主君がみずから自嘲を聞かせたものと受けとったようである。やっと勇気をえて顔を上げかけた。すると、焦立たしげに若入道がまた語を投げた。

「主膳、懸け合いは、うまくいったのか。何か先で、ごてごてはいわなかったか」

「いえ。おこころよく」

「ハハハ。こころよくでもあるまいが」

「でも、長崎殿には、ほかならぬ佐々木殿のお扱いではと、さっそく法師を揚屋から出して渡してくれました」

「そして、すね法師の身は」

「書院に待たせておきましたが、しきりに不審顔のていで」