Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
新朝廷の方は、西園寺公宗をはじめ、光厳帝の傅、久我ノ右大臣や中院ノ大納言も説きふせてあるし、また後伏見、花園の二上皇も、意地悪くは仰せもなく、
「よいように」
との、御意はえている。
けれど鎌倉の相模入道からの可否はおそく、やっとそれの下状が届いたのは、年も余すところ少ない師走の二十四日だった。
「吉左右は?」
と、道誉は自分のことのように封を解くまも胸占におどった。
高時の下状には、こう見える。
先帝ご不自由のため、獄中へお介添えの女房を移し参らす儀はかまいない。しかし三位ノ局ひとりではならぬ。ほかに権大納言ノ局と小宰相のふたりをも合せてお側におき申せ。
「出来た」
道誉は笑った。画匠が大作を描き上げたときのような悦に入って独り手を打った。
すぐ彼は諸家の間にそれを伝えた。廉子はじめ後宮の女人たちもすべて、諸家の“預け籠め”となって分散されていたのである。また新朝廷の、久我ノ右大臣へも事のよしを報じてもどった。
そろそろ街も正月支度に忙しげな師走二十七日。
彼の馬上姿を先頭に、十二人の黄母衣組以下の一小隊が、三輛の牛車に、三人の佳麗な女囚の后たちを分かち乗せて、六波羅松原へさして揺らいで行った。