Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
「さようです」
右馬介は、自信をもって、はっきりいった。
「――さきに備前で宮方に呼応した桜山茲俊は、一時破竹の勢いをみせ、またたくまに備中、安芸のあたりは、その配下かとみえましたが、笠置、赤坂の落城がきこえて、部下は離散し、茲俊は同国一ノ宮にて、それこそは紛れなく自刃して果て、火の消えた如く消滅してしまいました」
「むむ」
「したが、火だねは絶えず、近ごろまたも、桜山につづいて、備前には児島三郎高徳なる者が起り、瀬戸ノ海を隔てながらも大塔ノ宮、正成らと款を通じ、虎視眈々、機をうかがっておりますそうな」
「とすれば、島々の海賊、村上なども一部は宮方へ加担とみえるか」
「さ、そこまでは私の眼や耳ではとどきえません。が、堺のうごきから察するに、正成は、先帝の龍駕を奪うにも、しょせん、都附近では、事成りがたしと見て、遠く護送使の列が、備後、美作の山中の行旅へかかる日、その願望を遂げんとするのではありますまいか」
「む! その手はあるな」
「されば、先帝の隠岐送りも、行く先、すこぶる危ないもので、おそらく、児島高徳の一類に楠木の与党も交じって、その途上に、手ぐすね引いて、おろうかと観られまする」