Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
ここはやや高い所だけに、彼方の加古川ノ宿の灯が、一つの川を隔ててすぐそこのように見える。薄月夜の下にちらばッている灯影のどれか一つは、父のみかどのいます囹圄の灯ではあるまいか。
宮は、仮想の下に、
「父の君。子の宗良はここにおります」
と、その灯へ向って、叫んでいるようなお姿だった。
「……きのう兵庫の浦で、兄宮(尊良)にお別れした時も、身はズタズタな思いでしたのに、明日は父ぎみとも、この土でお別れせねばなりませぬか。なぜ私たちは、親子でいながら、ここの一水も自由に越えられぬ身なのでしょうか。人間の子でないのなら、こんな慕情にも溺れますまいに……宗良にはこの涙が止まりません。やはり人間の子なのでしょう……。宿命、恨むべきでないかもしれませんが、何で帝王の子には生れたるかと、口惜しゅうございます。余りに人の上の人にお生れあった親のあなたさままでが、つい恨めしくさえなって、どうすることもできません」
もとよりお声はない。しかし、ぼうと窓に見える宮の背の影に、それは窺われる。いやお姿が描いている。
将監は、そっと抜き足で、戻って来た。そして遠くの警固の組へ来て言った。