Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
「……警固の武者方も、これまでならんとは申しますまい。どうぞお船の内へお持ちあって。……そして、昨夜もおものがたりいたした通りです。すべて天意のほかではございません。ただどうぞ、毎日の日と、お体とを、お愛しみなされますように」
すると。いきなり、横あいから長井将監が、
「なんだ、それは」
と、小笊の上へ顔を突き出した。そして、何かをおおっているらしい中の葉屑を一トつかみ取って捨てた。
「……?」
ふと、彼は変な顔をした。
小笊の中には、まだ羽ネもよく生え揃っていない雀の赤子が一羽、寒そうにふるえていたのである。
「はははは。何かと思えば、やくたいもない!」
将監は急に、笑いが止まらないほど笑いぬいた。そして、宮が命松丸へ向って、餌やら飼い方など訊いておられるらしいその仲を割って、
「時刻です。……さ、ご乗船を」
と、渡り板へ追い立てた。
子雀の小笊を持った宮の姿は、待ちもうけていた武士に迎え取られて、すぐ船牢の鎖の内へ鎖されてしまった。ほんの顔だけを出せるぐらいな切り窓が一つ開いているだけだった。
将監もそれへ乗り込み、以下、人馬のすべても、ほかの十数そうに乗り別れる。