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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme

Aozora Bunko

「高徳。それは真か」

「いや、ことばの上のみでは、なかなかおいぶかりも解かれますまい。……おひと目、帝に御対面なされたい一心から、これまでおあとを慕うて、彼方の木蔭に忍んで、みゆるしを待っておられまする。……なにとぞ、ご奏聞に入れて、しばしの御謁を賜わりますように」

「ああ、そうであったか」

彼女は深い息のように呟いた。

高徳の眸にはその人のうごかぬ姿が、大覚ノ宮のまごころに、いたく打たれたものかと見えた。だが、廉子の胸はそう単純でない。めったに、ほかの皇子の行動になど打たれはしない。

彼女が腹をいためた実の皇子も幾人か都に残してあるのである。こうなっても、廉子は自分が生みまいらせた皇子には未来の大きな夢をかけていた。女ごころはべつである。

「……控えて居やい」

彼女は高徳をおいて、濡れ縁の果ての妻戸のうちへすうと隠れた。――高徳は地に匍伏したまま、みゆるしを待っていた。いつまでも地の冷えに耐えていた。

「……はて?」

余りに長い。なんの音沙汰もいつまでもない。

彼はよく五郎などから「分別すぎる者」と笑われるほど、人には一応も二応も疑いをもってみる方だが、高貴な雲上の美女を疑うことまでは、知らなかった。