Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
しかも、街道では四分五裂にたたかれ、深田や林へ追いこまれた上、大津ノ浜にはまた、叡山と同心の堅田党や和仁党の武士が、たくさんな小舟に僧兵を満載して、先廻りしていたので、六波羅の主力は、そこでもさんざんな敗北を喫してしまった。
六角ノ判官時信、長井丹後などの六波羅の諸将は、
「このまま夜に入らば、なおどんな犠牲をぜひなくすることかも知れぬ、――ひとまず退け」
退き貝を吹かせて、思い思いな散陣のまま、三井寺の甍へも恟々と気をくばりながら、山科辺まで引きあげた。
山も湖もいつか夕雲を赤く流して、暮色の中に鴉の声が、人の血を嗅いで騒ぐのか、ひどく異様な啼きかただった。
いや鴉だけでなく、白い夕星の見えはじめた山門の上でも、
わあっ……
わああっ……
と、人間たちの鬨の声が、その日のいくさを「勝った」「勝った」と誇り狂っていた。法の庭を血臭い姿の剣光にうずめて、かがり火やら松明やら、まるで天魔鬼神の乱舞なのだ。
けれど、この大捷の沸騰も、あくる日は、もう山上に冷めていた。怪しげな※(「口+耳」、第3水準1-14-94)き声がたちまち拡まっていたのである。たれからともなく、