Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
ところがここに、ふたりの舟中の長話を遠くに見て、密かに、いぶかっていた者がある。やはり同族の塩冶判官高貞だった。
塩冶高貞は、隠岐ノ清高よりずっと若い。が、この地方の現職では彼の方が上位だった。
清高は、隠岐の守護代にすぎないが、彼は出雲守であり守護職でもある。簸川郡塩冶城にいて、その祖も同じ佐々木の末流だ。
「はて。ただ二人、あんな船の中で、何の密語を?」
彼は、おととい以来、道誉がとかく自分をよそに、清高ばかりを談合相手としているのが、気にくわなかった。
ひいては、両者の間におこなわれた帝の引き継ぎにも、疑いを抱いていたものだった。
「よし、そしらぬ顔して、こよいの態を眺めていよう」
その宵は、三明院のうちで、心ばかりな別宴があることになっていた。
一夜明ければ、帝の御船は島へ。――道誉以下は元の都へと、立ち別れるのだ。
ほどなく、その道誉と清高も、連れだって来て、三明院に姿を見せる。また、千葉ノ介貞胤だの、小山五郎左衛門秀朝などは、おもな部将をつれて、すでにもう、庭むしろの上に、あぐらして居流れていた。
庭には篝火、上の古御堂のうちには、磯風をふくむ小暗い短檠の灯。