Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
「まあ。またいつか、お目にかかって、おわびをする時もあろうよ」
と、夫妻は忘れることにして過ぎた。
ところで、小馬田は、伊賀山中の一庄で、服部家はこの地の小領主なのだった。
元成は、いちど武士を捨て、家も勘当の身だったが、養父の死後、呼び返されて、ぜひなく、当主の跡目をついでいた。でもなお、妻の卯木も彼も「――どうかして武門の外に」という初志は変えないものの、事情はそれをゆるさない。
去年の笠置、赤坂の合戦へは、この伊賀からも、たくさんな参加者があったし、以後も宮方と鎌倉方とが、暗黙裡に、ねめあっている現状なのだ。
そして、そんな中での小地主の服部家も、表面、どっちつかずに命脈を支えているが、しかし妻の卯木とは切ッても切れぬ楠木家との関係から、じつは、赤坂落城以後の楠木家には、この家こそが唯一の“たのむ木蔭”となっていたのである。
一時、都あたりで、
「正成死せり」
と沙汰された頃も、当の多聞兵衛正成は、この小馬田に身をかくしていたのであり、その後も、風の如く来ては、また、風の如く伊賀の外へ去っている。
それだけではない。
なお今年になっては、奥金剛の多聞寺に避難していた正成の妻子たちが、山づたいに、伊賀の卯木を頼って落ちて来た。