Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
「みな、元気でおります。それに河内の領民どもも、よく砦の工に力を協せてくれますし、今のところ、後顧には何のご心配もいりません」
と、告げた。
しかし正成は、弟のいうが如くには、諸方面とも、楽観していない面持ちだった。これは正成の持ち前というしかない陰翳だろうか。妻子の消息などにも、ただ頷いてみせただけで。
「正季。じつは一戦の所存をきめたぞ。あぶない賭事を、われから仕かけるには似るがの」
「いずれはと、覚悟して馳せつけました」
「京、六波羅はようやく手薄。ここらで、諸国の同志を意気づけるため、一度、のろしを打ち揚げておかねば、せっかくな気運も、一時だけで、霧散してしまおう。……何といっても、みかど(後醍醐)のご遠島は、宮方の大きな沮喪であったからな」
正成は、なお言った。
「……が正季。一戦はのろしにすぎん。君(後醍醐)は隠岐へ流されても、われら宮方はなお健在なりと、それが諸州へとどろけばいいのだ」
「わかりました、よう、ご意図のほどは」
「無二無三、勝とうとするな」
「さりとて、負けてもならず」
「勝ちに逸れば、大敗を取る公算も多い。……すでに、ここの勢も二千とかぞえて、旗奉行の了現は誇っておるが、あらましは散所の浪人や、烏合の輩。