Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
「…………」
「さるゆえ、御生害を仰ぐにも、市の人目の中で、辱をお与えしてはならじと、家来どもにも申しつけ、自身は彼方の山寺に床几をおいて、蔭ながらのお念仏を誦しまいらせていたのでした」
「…………」
「しかも、ここの伊吹山下は、累代佐々木の領土です。思うに、京よりお身を預かり下って、鎌倉どのの御命よんどころなく、この地で、ご生害を見るなども、仏法でいう、先世の宿業とやらでございましょうか」
「…………」
「つい、徒らに遠くで不覚な袖をぬらしておりましたが、以てのほかなお怒りときき、動顛して、これへまいりました次第。……いやいや、とかく深いおことばなり、道誉のこころざしは、ここではちと申し難うござりますれば」
彼は立って。
また、後ろを見まわして。
「これ、里人たち。これは貴人のごさいご、興じ見るものではないぞ。遠くへ散れ。また、兵どもも静かにここでひかえておれ」
それから、もいちど、具行へたいして、ていねいに身を屈した。
「あの丘にて、心ゆくまで、お名残りを惜しませられませ。山僧に申しつけて、ただいま、筆墨をとりにやりました。さだめし、遺書をやりたいお心のうちの方々もおありでしょう。