Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme
そんなかろがろしい約は」
「いや、聞くところでは」
「それや周囲の推量だわ。わけて正季、そちの推測に過ぎん。――思うてもみるがいい。これだけの者には、これに何十倍する妻子老幼がみなここにおる者をたよりに生きている。正成一存で、賭けられようか」
「…………」
「さらに領下の百姓や億衆のくるしみまでを予想すれば、おぞ毛がふるわれてくるばかりだ。なんとか、そんな禍いもなくすまぬものかと、田舎武者のどうにもならぬ身ばかりが身もだえされ、せめてこの河内の奥の山里だけでも平和にと、ただ祈りを抱いているものを」
「では、この先も」
「それを、みなに問いたい」
正成は、見まわした。
佐備正安、天見ノ五郎、中院ノ俊秀、矢尾常正など、らんらんな眼をして、凄んでいる血気も多いが、べつに安房四郎左や安間了現、宇佐美、南江など、ふんべつ顔もまた少なくはない。
「おやかた」
「お、四郎左。意見があるか」
「勅使へのお答えは、おやかたのお胸には、はやお決まりなのでございましょうな」
「正成としては、おことわり申しあげてある。何ら能もない微力ではと」
「えっ。おことわりを」
しゅんと、一瞬の気落ちと、研がれた冴えが、人々を吹いたと思うと、佐備、天見、中院、矢尾など以下、ほとんど半数以上が一せいに座を立って、