Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(三) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 222.108 Zeichen · 446 Bildschirme

Aozora Bunko

満座は声もなかったが、やがて、

「もとより一死は覚悟の上です。たやすく勝てる戦とは決して思うておりません」

異口同音に。――そして奮然と気概を沸かせた。

正成は、あくまで冷静に。

「一死と申すが、自分一個の死だけでは足るまい。縁につながる者すべて、老いも幼きも、みな生死の境にさまよわせよう。それもよいのか」

「よういいきかせます。宮方へ拠らねば、鎌倉方の走狗に狩り立てられましょう。それよりは、いっそと観念させまする」

「いやその上、功名はできても、出世や栄達の望みは薄いぞ。――史を見ても、昔から朝廷の御楯となった武門で後に厚くむくわれた例はほとんど少ない。――それも承知か」

「合点です。元々朝家のおん為に、身も家も捧げたてまつる所存にござりますれば」

彼らはここで、一そうその異口同音を高めながら、天皇の御楯となることのよろこびを、武士の本懐であり、大きな生きがいだといった。

事、天皇の御名に及ぶと、正季初め、満座の顔には“時の潮”の色が映した。正成は、日野俊基のあの志士的な口調をそこに聞く気がした。正成にも朝家にたいする尊崇はあるが、彼らに見られる熱病のような尊王とは全くちがう思いがする。