Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
むしろ、積極的な一策へと移行した。すなわち、その日すぐ
明石出雲介親連
黒沼彦四郎伴清
のふたりが、上野国新田ノ庄へ急いで行ったことでもその関心のほどが知れよう。がこの両武将は、決して武力をかざして向ったのでなく、表面、幕府の徴税使として下向して行ったのだった。
質子の足利千寿王のとつぜんな失踪は、諸書、どれにも、
五月二日夜半ノ事
と見えるから、それが下野、上野あたりへわかったのは、おそくも五月五日以内であったにちがいない。
とすれば、すでに新田義貞は、自己の諜報網からそれは耳にしていたと見るべきであろうが、彼の住む世良田の館は、さくら若葉のなかに、きょうもいたって森閑としていたのみならず、その奥まったところからは、笛、つづみ、太鼓の音など、いとも暢び暢びとながれていた。
考えてみると。
この日、五月五日は男の節句であった。武家ではとくに、端午ノ節句は、おごそかにやる。
わけて義貞には、幼名を辰千代といった義顕や、その下の徳寿丸(後の義興)などの男子があった。それで今日は近親者の子や父兄まで招かれて“あやめ酒”をいただいたり、五月遊びに興じあっていたのであろう。