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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme

Aozora Bunko

と、多少のたかはくくっていたに相違ない。

“まぎれ”はつまり、心理戦でもある。こうした郭内の将士の心理が、義貞のおもわくを都合よく進めていたことも否まれまい。やがて深夜もすぎ、丑ノ刻(午前二時)ごろにもなると、七里ヶ浜の渚も、稲村ヶ崎の岬の磯も、目立って、干潟の砂を、刻々にあらわしてきた。

「七郎。敵の木戸へ、また一ト押し、押し迫れ」

義貞は、次いで、もっと烈しい命をくだした。

「このたびは、そちの部下のみで、小勢になるぞ。その小勢を紛らすため、敵の逆茂木、道の木々、所きらわず、火をかけろ、火を用いろ!」

このとき、義貞自身は、またその本軍の大部隊は、大きく急旋回して、稲村ヶ崎の磯根づたいに、岬廻りの道へ向い出していたのであった。

そこは昔、鎌倉開府のころには、磯根に沿って、細い岬廻りの往還があった所だが、荒天の日には道も洗われ、上からは絶壁の石コロなども落ちてくるので、極楽寺坂の切り通しが成ると同時に、いつかあとかたもない廃道になってしまったものだという。

岬、南へ突出すること

十町ばかり

海崖、およそ三十間

切岸の「石くえ」絶えず

峰の北は

霊山、長谷の山に連なる