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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme

Aozora Bunko

禰宜(神職)の振る鈴の音、かすかな燎火、そして拍手のひびきなど、遠くの兵たちにも淡くわかった。

やがてのこと、

「妙源、願文を」

という高氏の声がきこえる。

願文四百余字の漢文体のそれは、かねて命をうけた引田妙源がしたためておいた物。

高氏は、神前へすすんで、

「――敬ツテ白ス。祈願ノ事」

と、奉書の冒頭から、次第に、音吐をたかめて行った。

ソレ八幡大菩薩ハ

聖代前烈ノ宗廟

源家中興ノ霊神也

黒い霧のなかの者は、わからぬまでも、耳をすまし、気を澄ましあった。

漢文四百字はかなり長い。

だが高氏の声はつかれなかった。何かへ、迫らずにいないものがあった。そして、いよいよ朗々と、声に汗をすら思わせてゆくうち、

……将ニ、コノ義戦ニ

神モ霊威ヲ耀カシ給ハバ

神光、剣ニ代ツテ

一戦ニ勝ツコトヲ得ン

シカモ丹精ハ誠ニアリ

誤ル莫ラン

元弘三年五月七日

源朝臣高氏 敬白

と、特にわが名へ初めて、朝臣と名のりかぶせて、読み終るとすぐ、

「筆を」

と、弟の直義から筆をうけとっていた。そして花押をそれに加え、背のえびらから上差の鏑矢一トすじ抜きとって願文に添え、神殿のまえの壇に納めた。

それに、ならって。