Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
さあ、みなも飲め、あるかぎりな酒がめ相手に、討死しよう。生じ雑兵の手にかからんよりは、酒を相手に、杯を手に」
日は暮れかけ……。
しかも暮れ迷う夕の黒白がいつまで長い。
終日の黒けむりだ。日輪の所在もよくわからない一日だった。ただ晩涼の風がそろそろ葛西ヶ谷にも冷たくなり出していたのである。
高時はすでに、斗酒をほしていた。
青白くいよいよ冴えた顔を、きっと、虚空へふりあげて。
「火の雨だな。月雪花、この世の物、さまざま見たが、火の雨とは、思わぬ景色を見るものだ。あわれ、馬鹿者」
彼は次第に、ふんまん、やるかたない語気を、たれへともなく、吐きちらしていた。
すでに塔ノ辻、大町、若宮小路は、炎の大河だった。
なかでも巨大な紅蓮は、柳営一帯を舐め狂ッている風火で、そこを焼き尽くせば、炎は滑川もこえて、ここ東勝寺の山門へ移ってくるしか火魔の目標となる物はない。
「いわれなくても、わしは自分を知っていた。高時は悧巧な人間では決してない。ましてや、北条氏中興のお人、泰時公、また最明寺時頼公。そんなお方にくらべられたら、途方もない、不肖な子孫ではあったろうよ。……だが聞け。