Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
「抜くぞ」
「あぶないっ」
と、遠くへ逃げ退き、そのくせ、六月の陽の直射もわすれ、なお、事の成りゆきに、弥次馬心理をわかしていた。
どん! と屋の内の腰かけから突き飛ばされたものだろう。ふいにいま、ひとりの軽武装した若侍が、軒先から泳ぎ出してきたと思うと、見事二つ三つ、地面をころがって、起ち上がった。
「やりおったな!」
と、踏み直って、内へどなると、つづいて胴巻いでたちの武者二人が、
「おおっ、やったがどうした。いまのごとき広言を吠ざくなら、鶯谷(義貞の陣営所)へ来て吠ざくがいい」
「さあ、歩け歩け」
と、軒ばをはなれ、さらに若侍の肩を、も一つ強く突こうとした。
若いほうは、肩をひねって、
「くそっ」と、反抗を研ぎ「おれは足利殿の家来だ。なんで新田の陣所へなど曳かれようか。のみならず、よくもいまは、辱めたな」
「あたりまえだ」
新田の武士は、年も身分も上なのだろう。意識的な挑発かと見えるほど傲岸だった。
「この若造めが、たわ言もほどにしろ。昼酒くらって、足利若御料の礼讃はまア笑止ながら聞き捨ててもおこうが、鎌倉入りの大合戦は、ひとえに、若御料(千寿王)の参陣があったからこそ勝ったのだと吐かした雑言だけはききずてならん。