Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
「いや、いまの一曲にも感服した。なにか褒美にとらせたいが、持ち合せもない。そのうち二条烏丸のわがやしきへも遊びに来てくれい」
母子をあいてに、ふた言三言、雑談しているうちだった。忙しげな足音や家臣の声を、廊の外において、あるじの高氏ひとりが、
「やあ、おゆるしを。……義貞どの、おゆるしを」
と、坐らぬ前から、詫びを言い言いここへ入ってきた。――それを機に、尼は覚一の手をひいて退がってゆき、主客は、二人だけになった。
はじめのほどは、義貞も余りいい顔はしていなかった。しかし、高氏がひたすら今夕の事情を説いて、
「じつは、恩賞のご発表が、いよいよ朝議一決を見、それについて九条殿へ召された次第。悪く取って給うな」
と、まったく、他意はない容子なのである。――で義貞も顔色を直して、何かと、鎌倉いらいの戦談に、興をわかした。
「お手柄だったな」
高氏は、なんども、口をきわめて、新田勢の迅速と、その戦術をほめそやした。とくに、当初五、六百騎の小勢で、生品明神で旗上げしたその決断を、
「当今無双のご勇気」
と、称え、
「頼朝公の伊豆のお旗上げのほかには、くらぶべきものもない」