Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
しかしこの赴任は、すでに前の月の勅令で、
参議左近衛ノ中将顕家ヲ
陸奥守ニ任ジ
親王義良ヲ副ヘテ
陸羽ノ鎮守ニ
差シ下シ賜フ
と、わかっていたものだった。
そしてこれはまた、朝廷が東国東北の武士勢力を牽制するために打った一大布石であったことも、権力にたずさわる者にはすぐ読みとれていた。
元来、奥羽二国の富は、日本の半分にあたるといわれていた黄金の産地ではあり、馬匹の供給源でもあった。――かたがた、平泉の藤原三代の府は亡んでも、あれいらいの伊達、佐竹、結城そのほか北藩数十の族党は、つねに不気味な武力と潜勢力の保持者である。――これが鎌倉に在る足利千寿王の翼下に収められないうちに、まず両者間を断ちきッて、掣肘しておく必要がある。
さきに、北畠親房と忠顕から大塔ノ宮へすすめ、やがて帝のご同意となった一案とは、これだったにちがいない。――親房の子、顕家は、まだ十七の白面でしかないが、六歳の皇子を奉じて、その大任につくことになり、その朝、親しく天皇から詔、御衣、御馬などを賜わって、千里のさき奥羽の中心地に、鎌倉とも匹敵しうるほどな公武合体の小幕府をあらたに創るべく発足して行ったものだった。