Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
――王軍に抗した賊は、みなこのような末路ぞと、諸人に示すべきである。――と、即日、七条河原にひきだして、断罪の刑とし、十幾人もの生首を、半月あまりも、梟けならべてみせたのだった。
が、これで諸国の残党の騒擾が少しでもやむだろうか。
結果はなんのみせしめにもなったらしくはない。逆に、地方の山河を怒らし、諸民は新政府の非情を冷たい目で見た。そして都人士の風潮は、いよいよ虚無的に、また刹那的になり「どうせ、人の世はむごいものぞよ、息をしているあいだが目ッけものだ。あれを見、これを見ては、あすの日などはあてにならぬ。できるときに、できることを、やりたい放題やっておけ」という浅見を深い諦観みたいにみな持ちだした。
――これはなにもとつぜん湧いたものでなく、蒙古襲来の戦後、そして末期北条の頃へかけて、たぶんに醸成されていた人心の腐敗土だったが、こんどは世直しの世と期待していた建武新政にも失望して、前途の滅失を感じだしたとなると、いまやそれは極端にまでなってきた。信じられるのは、せつなの快楽だけで、前時代の道徳などは、犬の糞ほどな価値ともみられぬ悪の嘆美時代を呼んできたらしくみえる。