Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
「ばかな、そんなことができるものではない。一たん皇太子とさだめたものを」
「けれど、ほかにも東宮の御位をのぞんでやまぬものがあれば、乱になるしかございません」
「たれがそんなあるまじきことをば……。恒良のほかに皇太子はない」
「いいえ、いらっしゃいます。みゆるしはべつとしても」
「たれだ。言ってみい。……言いにくいのか」
彼女の涙をみて、これは容易でないと帝もおどろかれた。かつては、隠岐ノ島でのどんな苦難にでも、ついぞ涙など見せたことのない廉子である。その廉子が身をばしぼって肩の黒髪を泣きふるわせているではないか。
思いあまって。
とする情感を姿にこめて、やがて彼女が嗚咽の絶え絶えに訴え出したのは、もちろん、大塔ノ宮のことだった。――建武招来の第一の偉勲は、御自身なりと驕り誇ッている大塔ノ宮は、一面に尊氏をのぞかんとし、一面、もっと大それたたくみを抱いて、着々、その密謀をすすめているというのである。
宮には、御子がある。妃は北畠家の女で、御子もまだ二歳でしかない。
けれど宮は、自分のその御子をもって、皇太子としたいらしい。もし父帝がおきき入れなくば、帝を廃してでも、いまの恒良を蹴落して代わらせてみせる。