Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme

Aozora Bunko

「……大納言どの」

仲時は、いつか木蔭から起き出て、炭焼き小屋の土間をそっと覗いていた。

灯はなく、天皇の御寝の場とて、すぐそこの炉の床だった。そして按察使ノ大納言資名は、土間へじかにむしろを敷き、破れ壁にもたれて、眠るともない姿でいた。

「オ、仲時よな。……?」

「ご一筆、花押をねがわしゅうぞんじますが」

「どこへやる書状か」

「思い立って、これを伊吹の佐々木が許へつかわそうとぞんじまして」

「途中、賊の手に、使いが捕まる惧れはないかの」

「たぶんにそれはありまする。……が、むなしくいるよりは、一策でも手を打っておくべきかと思い直し、屈強な者をえらんですぐ持たせてやるつもりです。そこでこの召状に、廷臣のおん名と花押がいただけますれば、書状を受ける道誉の方でも、いちばい合力に力をそそいでまいろうかと思われまする」

もちろん大納言にいなみはなかった。仲時の使いはまもなく暗黒な峠をのぞんで立って行ったようである。もうなんとなく、明けまぢかな感がある。――法皇、上皇のお寝小屋でも、恟々と何かおささやきが洩れ、ひとしくどこの寝小屋もよくお眠りではなかったらしい。

「探題、探題」