Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(五) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 252.330 Zeichen · 505 Bildschirme
怪軍
こうして総勢四百余名――それがいま残っているすべてであったが――お互いに扶けあい、励ましあって、
「離れまいぞ」
「散っては弱まる」
「峠の上、番場の宿まで出れば、防ぎはなしやすい」
「伊吹の城とも、目と鼻のさき」
「そこまでの怺えだ。賊の難も、そこまでのこと」
と、必死な将士は、やがて摺針峠のおよそ一里を、えいえいと、気勢を高めて登り出していた。
怪軍
ときどき、山こだまが方々で聞える。不気味さは言いようもない。
けれど賊徒のほうでも、さすが決死の武者へ当るのは恐いのか、なかなか姿をみせて迫っては来なかった。
「もうわずかだ」
全将士が、そこではほっと大息をやすめた。峠の上、番場ノ宿は見えている。
「案じたよりは」
と、仲時もいくらか眉をひらいた。――これで六角時信の異心がたんなる誤伝とわかり、また伊吹の道誉が、柏原へお迎えに出ていてくれれば、申し分はないが、と思ったほどである。
けれど彼がそんな希望を持ち直したときこそ、じつは最後だったのだ。とつぜんな叫喚が、列の末尾からわき起って、
「すわ」と、坂道を下へ、ふりかえった刹那には、味方より多い賊のむらがりが、高い所、低い所、いちめんから喚きかかっていたのであり、仲時の手が、