Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
すべて何者のしわざとも知れないのである。
こういうふうで、直義と義詮との一体政治も、空念仏に過ぎず、むしろ両者は疎隔するばかりであった。六月の或る夕、直義が義詮を訪ねたが、なぜか時も措かず、すぐ門を辞し去ったことなどもあり、その不和はもう公々然な悪気流を呈していた。
都もこうだし、九州では、新探題の直冬と、旧探題の一色範氏とが、以後、九州を二分して、大合戦に入っている。
また信濃では、尊氏の党と称する小笠原と、直義方の諏訪とが、勝手な戦争をはじめてしまった。すべてたれの意志でもなく宇宙の雲間で振る魔のムチにうごかされてでもいるような憑かれた人々の妄動と不安にみえる。
その疑心暗鬼を、日がたつほど、いよいよ深めていたのは、尊氏でなく、なぜか直義と、その周囲の者たちだった。
それには、こういう例などもあったのである。
細川顕氏は、さきに尊氏を去って、直義方へ付いた一将だが、嫌いな執事の師直ものぞかれたので、尊氏の許へ、お詫びにと、会いに行った。
すると、尊氏は、
「降参人が旧臣の伺候を受けるのは畏れがある」
と言って、会わなかった。
顕氏は、ふるえあがって退きさがったということが、洞院公賢の日記にみえる。