Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
したがよく諸方で軍功をあげた。さすが父の名を恥かしめぬ者。お上の御嘉賞もひとかたでないぞ」
「先刻も親しくおことばまで賜わり、身にあまる冥加です」
「よかった。親房もあとで聞いてうれしく思った。泉下の正成の心も思いやられてな。いや正成もだが、そちの母も、優れた女性とみえるな」
「…………」
「そちの父が湊川で逝いてからちょうど今年は十年になる。その間には内々、足利方からもずいぶん誘惑もあったろうに、幾人もの遺子を守り育てて、今日、吉野のみかどへ、それらのわが子をささげてまいるなどは、よほどな女性でなければできぬことだ。そのような母、あのような父、正行が群を抜いた戦陣ぶりも理由なきことではなかった。だがの、正行」
「はっ」
「なぜ、このたびのような大事なたたかいを前にして、大将たる身が、かりそめにも数日陣地をむなしくあけて、たとえ一夜にせよ、母の許へ帰ったのか。また、これへも参ったのじゃ。親房にはそこのところが、どうも心に染まんのだが」
「はい……」と、正行は神妙にわびて。「この冬は、とかく体のすぐれぬ母と聞いており、また、次こそは、ゆゆしい大決戦になろうと、ひそかな覚悟も持ちましたので、よそながら吉野の御所へも」