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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

北条九代、百五十年、鎌倉の府の政治や文化も、それに倦んだ人心も、はや生脈のない古池となりはてたのだ。

かたちの上では、蝦夷ノ乱、地頭のわがまま、百姓の不平、府内の過度な爛熟と士風の廃れ、それにまた、高時の遊楽三昧やら、権力の座をめぐる暗闘やら、山ほどな理由もかぞえられるが、それはみな、次の脱皮への地殻の身支度にほかならない。――富士山ですら、それをする時には、三日三夜も火を噴き地を爛らしていたではないか。

「のう、右馬介」

高氏は、憑かれたような眼ざしで、なお言った。

「もうだめだ。……いずれにしろ鎌倉幕府は、総勘定をせまられる日に来ている。消極にいても、積極に出ても、自解の途をとるしかない。おなじなら、いッそのことと、宮方の大弾圧に出たのみか、公卿の死罪までを行った以上、もう朝廷へ戦いの口火を切ったも同様だ。――坂へかかッた車はもう止まる所を知るまい」

「して。時はいつと、ご推測なされますか」

「いま幕閣では、俊基朝臣の処刑につづき、主謀の御一名、大塔ノ宮をば、いかにして召し捕えんか。そして、二度と世の光に会えぬ遠島に追いやらんかと、内々、心をくだいておる」