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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

とはいえ、十を幾ツも出ぬ女童のころより、この玄恵が手もとにて育みしものを、かかる始末となっては、迂僧も何やら申しわけない心地ではある」

そう述懐をもらして、

「さっそく、河内へ書状をやって、玄恵の養育のいたらざりしを、詫びねばなるまい」

と、呟いていた。

成輔は、自邸へ帰ると、すぐさま使いを河内の水分へ派して、失踪の男女が立ち廻ったか否かを、ただしてみた。

本来、武士だが、人を殺すわざなど、とても出来ぬ自分を覚って、刺客の使命もなげうち、西華門院の内から、卯木を奪ってかくれた治郎左衛門元成は、すぐ、その日その日の暮しにも困窮していた。

伊賀ノ国へは、いまさら帰ってゆく顔もない。

おそらく、国の養家では、一族して、

「勘当する」

と、立腹しているは知れたこと。

さりとてまた、のめのめ卯木の実家を、頼って行けるものでもない。

今はまったく、天涯、寄るべなき二人とはなったのだ。しかし悔いはしない。卯木もそれが本望といっていたのだから。

けれど、卯木が身に持っていた物などもすぐ売りつくし、その上にも、元成の身は、たえず生命の恐怖に襲われていた。

「……こんどは、自分が刺客に狙われる番か?」