Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.598 Zeichen · 254 Bildschirme
「さ。……?」
奇法師の弄する奇言。元成には、そう聞えた。
なおのこと、女の卯木には、一そう解りそうでもない。むしろ逆に、非情ななぶり言を吐いて、運命に疲れた不運な者をおもちゃにする路傍の戯れ言並みにもそれは受け取られて、つい、くやしげな涙につき上げられた風でもある。
「ご不平らしいの」
兼好は、独り喞して。
「いや、ご無理はない。たれでも人は、少し逆境の波間を泳ぐと、世に自分ほど不幸な者はあるまいと思いがちだ。いずくんぞ知らん。苦患の世は底なしだ。下には下に想像もつかぬ不幸な人々が埋ンでおる。それにひきかえ、何とお夫婦は、祝福された青春かよと、正直、羨まれ申したのでおざる」
「兼好どの。私たちが倖せとは、どういうわけか」
「お互い、出家同士でおざろうがの」
「いえ、よんどころなく、世を忍んではいるものの、出家はしてはおりませぬ」
「ま、狭義にいえば、出家は仏弟子に限るようなものだが、兼好が申す出家とは、もっと広い意味のこと。すなわち、お辺は武門から出家し、卯木どのは、女院の内の栄花めかした似非幸福から出家なされたものではあるまいかの。いうなれば、弥陀をたのむ発心も出家。