Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
Lesen Sie 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.829 Zeichen · 169 Bildschirme
「こいつあいけねえ、ねえちゃんも腹がへってるんだっけな……上海の姐御、すまねえがひとつ頼むぜ、女は女同士ってこともあるからな、へっへっへ」
趙はわざとらしく頭を掻いた。
「ちぇっ、ばかにしているよ、あたしにそんな用をさせるなんて」
「どうせ、お前さんの手下……おっといけねえ、しつけをお願いしなくっちゃあならねえ子供だ、可愛がってやるもんだぜ、へっへっへ」
女はしぶしぶ立上って、大きな皿に御馳走を取りわけると、小さな葡萄酒のコップを添えて少女の前に差し出した。
「好きなだけおあがり、まだいくらでもあるんだから」
意外にも、この女も日本語を自由に話せるらしかった。
「ありがとう」
はっきりした声で少女がお礼をいった。
「あ、り、が、とう、だって……ふん、お前さんが御主人公で、あたしが女中さんのようなもののいい方だね」
「だって、お腹がぺこぺこなんですもの、おばさん、本当にありがたいわ」
「おやおや、わりにはっきりしている子だね、……お前さんマレーへ行くんだって、本当かい?」
「ええ、趙さんにお願いして連れて行って頂くつもりですの」
「子供の癖に貨物船の艙の中にかくれて行こうなんて、もし見付かったら、香港どころか日本へ逆戻りだよ」