Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
Lesen Sie 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.829 Zeichen · 169 Bildschirme
船長は上甲板から、メガホンを口にあて、声をからして命令を下していた。だが日本人の船員以外にはそれに耳を傾けようともせず、先を争ってボートにとび乗った。乗りはぐれた者は、一と声鋭い叫びをのこして、闇黒の激浪の中にのまれて行った。
「早く……乗って下さい……宮崎君……頼んだぞ」
船長は、日本人の船員ばかりの乗り込んだ、一艘のボートの導索を、しっかりとつかまえながら叫んだ。
宮崎運転士が、用心深く、英夫と祥子をボートに移して、船長に代ろうとすると、
「馬鹿!」
と、どなる船長の声が、はっきり聞えた。
「わしの命を、いくつ犠牲にしても、この責任はつぐなえんのだ、行きたまえ、君はこの人たちの命をボートに預っているんだ!」
宮崎運転士も、意を決したらしく、ボートに乗り移った。
瞬間――ボートは滑降台を降るような、はげしい勢いで、ずるずると波の谷底にすべり落ちて行った。
「あっ、船長! 船長はどうして乗らないんです」
英夫が叫んだ。
「引っ返して下さい、船長さんがまだ、残っているじゃありませんか!」
祥子も、青くなって立上った。
「立っちゃあいかん!」
誰かがどなった。